除夜の鐘

除夜の鐘百八数え鼻をかむ

冬

古希の冬我が人生は以下余白

年の暮

年の暮己を捨てて生き急ぎ

行く年

行く年や孫の手を借り背中掻く

賀状書く

亡き子にも御無沙汰詫びて賀状書く

数へ日

余生とは数へ日の日のようなもの

クリスマス

疑問符の美しき日やクリスマス

雪遊び

雪遊び越後の空は鉛色

寒椿

寒椿一目惚れして風狂ふ

冬至

本年もラーメン啜る冬至かな

南天の実

老妻の口唇褪せし実南天

雪女郎

雪女郎我に抱きつき熱発す

狐火

狐火や共同墓地のくらさかな

枇杷の花

格子戸を開ければそこに枇杷の花

煤払

煤払ひ心の煤を持て余し

熱燗

熱燗や人肌恋し春恋し

冬草

冬草や風に吹かれて生き返り

水仙

水仙や遠き空には幸はなし

冬ぬくし

冬ぬくし三国峠の足湯かな

雨霰

雨霰雪が降る降る峠の湯

息白し

ハッハッと吐く息白く風走り

冬茜

人生に正解ありや冬茜

山茶花

山茶花や見知らぬ風に会釈され

初孫

冬萌や初孫一歳じじじじ爺

冬林檎

冬リンゴ湯船に浮かべ子を偲ぶ

命日

命日や冬ごもりする青き鳥

枯芒

首さらし枯れて生きぬく芒かな

枯野

枯野にて経を読む石拾ひけり

山眠る

山眠る寝不足の風吹く朝に

冬の雨

越の国ジグザグに降る冬の雨