日脚伸ぶ

吹く風が手足伸ばして日脚伸ぶ

風邪

風邪引いて三途の川で舟を漕ぎ　　　　　　

寒し

草臥れて寝転んでいる風寒し

寒雀

我が庭で亡き子と出会ふ寒雀

吹雪

吹雪の夜悪寒戦慄真っ白け　　　　　　　

雪

降る雪は亡き子から来る手紙なり　　　　　　　

暖炉

縄文の時代恋しや暖炉の火　　　　　　

山茶花

山茶花や垣根越しに話す風　　　　　　　

寒鯉

寒鯉は静かそのもの父偲び

寒の内

手鏡の自分に嫌悪寒の内

寒鴉

突然の訃報に啼きけり寒鴉　　　　　　

冬木立

見渡せば冬木立のみ凛として

地吹雪

地吹雪や聾桟敷に客はなし　　　　　　　

雪

こんこんと咳をして降る今朝の雪

氷柱

時が解け光滴る氷柱かな

冬の星

恐竜の眼寂しき冬の星

雪明り

密会の橋を渡れば雪明り

冬銀河

都では目を閉じて見る冬銀河　　　　　　　　

冬の雷

明日思ふ心一喝冬の雷

冬将軍

俳人の句嫌いなりや冬将軍

風邪

反対す平和戦争風邪ひける　　　　　藤木洋良

寒の内

風泳ぎ骨透き通る寒の内

楪（ゆずりは）

楪や道を譲られ風燥ぐ

初孫

初孫は千両役者雪が舞ひ　　　　　　　

七種粥

宿酔や七種粥に未来あり　　　　　　

命日

命日や息子の墓に雪積もり

福笑

初孫も二歳になりて福笑

初春

初春や天下晴れて迷悟なし

初詣

初詣太宰府は雨木うそ買ふ

初夢

初夢やのの字の中に迷悟あり