春

師曰く春には春の明日あり

雪吊

雪吊や春を夢見て池眠る

盆梅

老いを知り老いを忘れて盆の梅

薄氷（うすらひ）

薄氷をふめば弾ける朝日かな

余寒

会釈して風が吹くよな余寒かな

春の雲

それぞれの生き方ありき春の雲

残雪

残雪や化粧落として空晴れり

春

断捨離や己を捨てて春を待つ

寒鴉

寒鴉海に背を向け風に問ふ

雪解

雪とけて極楽とんぼ舞上がり

春の雪

わが神よ春の雪止み昇天す

春のどか雪

美なりきも春のどか雪害をなし

春の風邪

人並みに春の風邪ひく老夫婦

春の雪

春の雪猫の額が白くなり

春めく

春めきて波立ち騒ぐ阿賀野川

バレンタインの日

ときめきてバレンタインの日の妻よ

春遅し

春遅しちゅんちゅん雀明日は晴れ

梅

老人は国の宝か梅が咲く

春寒し

春寒し風の便りも途絶えがち

春の日

身支度を整えて待つ春の日を

冴返る

風に問ひ天に問ひたし冴返る

春の雪

生かされて生かされて降る春の雪

室咲

室咲の花の切なき命かな

命日

命日や息子の墓に雪の花

春浅し

年を取り呆けて生きるに春浅し

立春

自死するな時節到来春立つや

節分

節分や鬼の顔して鬼あやし

春を待つ

生きるため酒に飲まれて春を待つ

春近し

春近し初孫バイバイ覚えけり